新しい門出
康博 鈴木
気ばらしに家のまわりを
散策する
子供のころから見なれた
家並みが続く
今住む世界は歩きなれた坂道を
登っているだけ
ひざしは少し強くはなったが
コートを脱ぐには
冷たい風がまだ身にしみる
だいぶ歩いた
いつもと違う道を
遠まわりしてみたけれど
歩き足りなくて
今日こそ思い切って行ってみよう
見はらしのいいあの丘の上まで
帰り道 こころよい疲れに
想いを秘める
あの坂を下りるともうすぐ家の前
この広い世界に
まだ自分でも思いも
よらない何かが
今度こそ思い切って家を出よう
もうそれができるとし頃