忘れ雪
隆 松本
あれは忘れ雪降る頃
ふたり訪ねた山あいの宿
肩をもたれあって聞いた
雪どけ水のさやめきだった
ふたりにとり最後の旅
知らずに過ごしたね
きみの愛が辿った径を
ひとりで歩こう
寒い霜柱踏みしめ今しみじみと
きみを想うよ
足をくじいたきみを背負い
この山径をのぼりつめたね
ふたりかばいあって生きた
あの愛が何故通わないのか
ひざ抱き寝る雪の夜に
哀しみ降りつもる
ぼくの愛が辿った径を
明日は帰ろう
今もきみの泣きぼくろが
眼に浮かんでは
涙を誘う
ふたりにとり最後の旅
知らずに過ごしたね
きみの愛が辿った径を
ひとりで歩こう
寒い霜柱踏みしめ今しみじみと
きみを想うよ