Overflow
黒田俊介
青くにじむ月のしずく
湖にそっとこぼれ落ちる
途切れ始めた言葉のように
水際に浮かぶ木の葉は
漂いやがて身を寄せ合う
出会った頃と重ねてみる
ぎこちない笑顔が涙でうるんでく
最後の優しさが肩を抱き寄せるから
ひとときの温もりだとしても
自分を傷つけたとしても
そこに愛がないと分かっていても
今は身をゆだねよう
いつの間にか気付いてた
戻れない場所がある事を
あなたはそばに 心は遠くに
舟は水面をすべり出す
風のまにまにゆっくりと
そして つないだ手がほどけてく
傷ついた水鳥が羽を休めては
白んでく空の果てに向かい
はばたいて行く
凍える夜の闇をこえて
けむる迷いの森をぬけて
輝き探して未来へと手を伸ばす
そして疲れ果てた時
月の影で夢を見る