天国への鍵
美穂 中山
幻のように映る目の前は
眠りの声をくれたあの横顔
横たわっただけなのに
瞳が閉じてく
こわくてやさしい世界が揺れている
ふいにゆらり流されていく夏服から
水の星座になって
たどりつく場所へと
知らずに握りしめていた天国への鍵
時にはこんな朝の霧のように
肌にかくした雫はそのままに
髪を束ねた指からこぼれたため息も
木もれ陽のように綺麗に広がるわ
ふいにゆらり流されていく熱い河を
あなたの呼吸に
そっとあわせて泳ぎたい
知らずに求めていたのは
よく似てる生き方
ふいにゆらり胸の中にいた妖精が
生まれた朝の記憶を甦らせてくれる
あなたにたどりつけたのは
天国への鍵