去年は、8月だった
圭子 麻生
雨が降れば喜んだ
二人きり過ごせるから
今は雨が止むことを祈るの
一人きりになれるから
ああおたがい
厚い本手にして何も話さず
電話を気にしている
たった1年がだけど1年が流れ
昨夜も服を着たままで
朝を迎えてしまった
たった愛なのに
だけど愛だからツラい
去年は8月だったわ
海は夜も青かった
高い波が押し寄せる
泳いでる人はいないせめて
窓を少し開け濡れるの
二人きりが苦しいの
あぁ子供と笑われそうだけど
この手つないで
くれれば気がすむのに
たった1年がだけど1年が流れ
いつしか嘘がわかるほど
疑い深くなったわ
たった愛なのに
だけど愛だからこわい
去年は8月だったわ
海はいつも笑ってた
今は秋なのに今日は雨なのにあなた
誰かの麦わら帽子が
海の隙間で揺れてる