246
Kooji Ueno
あの頃のふたりは
互いに学生で
有り余る時間を
一緒に浪費した
いつでも週末は
頼りない車を
ピカピカに磨いて
西へと向かったね
時には寄り添い合い
時にはけんかもして
楽しかった思い出
今も大事な宝物だよ
この道を走って
この道を帰ったね
助手席の私と
大好きなあなただけ
それからのふたりは
しだいに忙しく
過ぎてゆく時間も
自分のためだけに
すく近くにいるのに
心は遠くなって
日常(とき)に流されるまま
会えなくなり 会わなくなったよ
この道を走って
この道で涙した
あの日のふたりには
もう二度と戻れない
幸福そうな恋人達や
ショーウインドウに映る人影
やさしかったあなたの笑顔に
重なっては ふと寂しくなる
この道を走って
この道で涙した
あの日のふたりには
もう二度と戻れない
この道は長くて
愛さえも迷わせた
それでも時々は
あなたを思い出させる