風燭のイデア
Sora Amamiya
現世覆う帳
月をけぶらす長雨
飽かず今宵もまたうらぶれ
季節は移ろえども
褪せることを忘れて
この心を埋め尽くす緋桜
結び違えた糸を解き
戻ると言った契りはまるで呪いのよう
天つ風に乗って あなたの元へゆこうか
一目逢えたならば
ひらひら舞っては散りゆく希い
白雪に落とされた
花の色数えては
実を結ぶ春日に思い馳せ
袖を濡らす涙も
独りきりの夜更けも
唯一つの愛の他惜しまず
裏切り告げる 春の報せ
賭した愛だけ 恨みで編んだ餞 提げて
疾風に乗って あなたの元へゆきます
もう逢えぬのならば
ひらひら閃く刃の鋒
この身も愛も救われぬなら
あとは悪意の巣食うままに
道を違えたその足掬い
もろとも共に転げ落ちて地獄まで
業の風に乗って あなたと共にゆこうか
二度と離さないと
ただただ待っては打ち泣く夜は明け
ひらひら舞うように咲った貌