晴るる

Hitomi

歩道橋の中央から
見下ろした街並みは
鮮やかに春を帯びて
冬の終わりを知らせている

今日はどこへ行こうか
宛もなくただ歩くんだ
読みかけの小説を
鞄の奥にしまい込んで

そっと頬を掠めた
春風にふわり踊る
花の欠片を集めて
掌の中閉じ込めた

そうだ花ってやつは
散り際こそが美しい
僕らもきっとそうなんだ
終わりこそが美しいんだ

春の風に
願いを込めて
どこか遠くへ
連れて行ってよ

ふわりふわりと揺れていた
君の心に残るこの歌
いつまでだって歌っているんだよ

ゆらりゆらりと揺れていた
君は儚げな顔で泣いてた
いつまでだって覚えてるのに

もう分からないんだよ
分からないんだよ
分からないんだよ
分かりたいんだよ

この春でさえいつか終わるんだ

その後は急に雨が
降り出したから傘を買った
天気予報は大ハズレ
空には虹がかかってる

濡れたアスファルト
浮かぶ花びらは
どうしようもなく無力だ

ふわりふわりと揺れていた
花は散りゆく後も美しい
いつまでだって歌っているんだよ

ゆらりゆらりと揺れていた
風は去り際こそが美しい
いつまでだって覚えてるのに

もう分からないんだよ
分からないんだよ
分からないんだよ
分かりたいんだよ

この春でさえいつか終わるんだ

春の風に
想いを乗せて
どこか遠くへ
連れ去ってよ

ふわりふわりと揺れていた
花は散り際こそが美しい
いつまでだって歌っているんだよ

ゆらりゆらりと揺れていた
雨は止みゆく後も美しい
いつまでだって覚えてるのに

もう分からないんだよ
分からないんだよ
分からないんだよ
分かりたいんだよ

この春でさえいつか始まるんだ

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