ちぐはぐ
高橋 優
ぺちゃんこのこの靴じゃ
君には届かないの
つま先が痛くても
ねえ我慢は得意なのよ
大人びた君にちゃん付けで
呼ばれる度に
誰にも言えない恋が
今私を置き去りにして
咽び泣く蝉がうるさくて
愛の歌を歌ったの
そこにあったのはただの鏡だったわ
君と会う五分前
ハンドクリームをつけて「お揃いの匂いだ」と
君の左手と私
もうもうと暑すぎるこの夜は
どうしたってもう息が詰まる
たっぷり重なるタオルみたい
暖かな優しさ集めたような
笑顔が今だってそこら中で歩いてる
誰にも言えない恋は
もう戻さなくっていいから
君とそう一度もう一度
新しく出会いたいわ
明日には平気だと思いたい
解けてた靴紐と右手は