夕焼け飛行船
ishii tatsuya
夕焼けの空に 浮かぶ飛行船
あれは遠い 思い出の景色か
金色に染まる 輝きの雲を
通り抜けるように 風に流れる
記憶の隅に まだ鮮やかに
時を超えた 思い出の夢
人は過去の色を 留められるのか
忘却の彼方へ 流されてゆく
果てしなく時は 大河のごとくに
何もかも かたちを削り取って
飛行船の窓から 見える河の向こう
海へと続いて行く 光の竜
太陽と月の 間の夕陽は
何かが僕を さらってゆく
壊れそうな ガラス細工の心よ
幼い頃に見た 幻の夢
色はセピアにかわる飛行船