春
Takahiro Matsumoto, Koshi Inaba
奪う勇気を捨てた者たちは
寄り添うこともなく にわかに夜は消えた
いつわりのない優しさだけをみせる君の仕度は終り
少しだけ春が近づいてる気配はするけれど
なにも言えないで過ぎてゆく
君の影を見送るだけ
逢うたびつぼみは焦かれてく
哀しいほど熱をはらみ
白く長い指 だれかも褒めていた
何度かその手を振って 君は路地を曲がる
口を開ければ綺麗好きな言葉が本音の邪魔をする
たかが恋なのにいつからこんな臆病になったの
なにも言えないで過ぎてゆく
君の影を見送るだけ
わかっているから涙が落ちる
膨らむ思いを飲み込む辛さを
もっと早く出会っていれば
なにもかもがうまくいったのか
華やかに咲いて散るような
瞬間を二人求めている
目を閉じ強く感じている
その心がそばにあること
なにも言えないで過ぎてゆく
君の影を見送るだけ
思い上がりにも似たような
気持ちが胸であばれている
二人のはかない行き先を
変えてみようか 裸になって
寂しい街から連れ出して
遠い国で君を抱きたい