琥珀の月
風が急に冷たくなった午後
一年ぶりに引っぱり出したコートで
無謀にも実行に踏み切った
彼もノってたから大丈夫
この「友達になる計画!」に
ずっとおさがりねだってたブーツ
"ねぇまだ 飽きないの?"って言ったら
両頬つねられてブスになって
吹き出されたけど
息が止まりそうだった
けやきの落ち葉踏みながら
手を振るあなたにピースサインした
声が高くなってたよね
はしゃぎ過ぎたよね
どう見ても私 無理してたよね
今になってやっと分かった
頬に触れた手に
どうしてあんなに 胸がつまったか
いつのまにか顔を出した
月がついてくる
彼のブーツの色に似てる
一年前にふたりで見た
映画のチケット
半分に折れて
ポケットから出てきた
今になってやっと分かった
ひとめ会いたかった
ブーツ閉じ込めた 月がついてくる
琥珀の月が ずっとついてくる