携帯電話
今日も携帯電話をポッケに入れて歩くけど
待てど暮らせど あの人からの連絡はなくて
まるで寂しさを ポッケに入れて歩いているような
そんな こんな僕です
いっそ携帯なんて捨ててしまおうかと思うけど
電話帳にいくつもの名前が入っていて
まるで友達を 携帯しながら生きているような
そんな 変な僕です
もうわけが分かんなくなっちゃって
一人ぼっちになりたくなって
電源を切って 僕に「おやすみ」
こんなものが無ければ 今日も僕は一人だと
思い知らされることもなく 生きてけたんだろう
だけどこれがあるから 今日もどこかの誰かの
ポッケの中に僕の居場所が あるんだろう
ふいに携帯電話を暇つぶしがてら見ていると
あのケンカも あの約束も残っていて
まるで僕の歴史を 携帯しながら生きている
ような そんな こんな僕です
さらに電話帳の名前をぼんやりと眺めていると
どうにもこうにも 思い出せない人がいて
まるで僕よりも 僕のことを分かっている
ような そんな 変な箱です
もう何も分かんなくなっちゃって
僕を僕のものにしたくなって
電源を切って 僕に「おかえり」
こんなものがなければ 今日も君がいないこと
思い知らされることもなく 生きていけたんだろう
こんなものがあるから 忘れていいようなことも
何ひとつ失くせずに いつまでもずっと残っている
だけど だから 今日もポッケに入れて僕は歩いてく
見えもしない 聴こえもしない
君と繋がっている不思議
見えない糸が張り巡った
その中で今日も僕は生きてる
その中で今日も僕は探してる
こんなものがなければ 今日も君はいないこと
君と確かにいたこと すぐ隣にいたこと
そんなことのすべてを 僕と君のすべてを
無くせそうにもないこと 忘れられそうにもないこと
だけどこれがあるから こんなものがあるから
今日もどこかにいる君の
その中のどっかに僕の居場所があるんだろう