駅
Youhei Hashiguchi
君は今も素敵に笑えていますか
電車は雨しぶきを散らして滑り込む
あの日笑顔のまま 君はホームへ消えた
しばらく立ちすくんで
夢を語るたびに大人になってゆくのを
隣で見てきたから
発車のメロディが流れドアが閉まる音まで
聞いてから改札の前で一人泣いた
君は今も素敵に笑えていますか
描いてた夢には近づけてますか
君のことを思うからこそのさよなら
なんてドラマに変えてた僕は幼くて
線路脇に残る 泥の混じった堅雪
冷たい雨に溶けて
上書きを重ねて 人は忘れてゆくのに
めぐる季節のように
僕も今では目の前の暮らしや恋があって
この先も交わることなき道を歩く
君は今も誰かに恋をしてますか
描いてた幸せ そばにありますか
いつかふいに君の横顔に見とれた
青色のベンチは変わらずにここにある
駅は気づけば 雨漏りの場所が増えて
二人重ねた年月を表してた
君は今も素敵に笑えていますか
電車は 想いをホームに残して 滑り出す