1920
Yumi Matsutoya
アネモネ色の溜息 落とし
宵の靄が歩きだす
振り子時計は時を歪ませて
カードを配っていく
アントワープの静かなオリンピック
空席だらけのコロシアム
テニスコートの孤独なギャッツビーは
どんな野望に敗れたの
かならず 帰る きみのもとへ
もっと強くなって
もしも 過ぎ去った日々が
もう遅いと言っても
セピア色した写真の中の
恋人たちが語りだす
やがて彼女は群衆にもまれ
彼の船に手をふった
かならず 帰る きみのもとへ
もっと強くなって
それは消えることのない
愛の誓いだった
かならず わかる ふり返れば
何を追いかけたか
それは変わることのない
あと100年経っても
振り子時計は時を歪ませて
カードを配り続ける
私は何を見ているのだろう
今とあのときのあいだに