Farce
あなたの作り笑いはとても寂しいから
度々に僕は抱くのです ささやかな憂患を
美しい朝靄だってあなたにあげるのに
それさえ疑い続ければ 暮らしは燻るな
贅沢を言わせて貰えるのならば
あの日観た メロドラマの片隅に
いつの日か あなたの顔を見て話せたら
その時はどんな話をしようかしら
鮮やかな 物語の末を求めたら
きっと逆らえない運命に溺れてしまうかな
怖ろしい夕闇の中 ほころぶ紫蘭の葉
雲に混ざりゆく摩天楼 優しさを頂戴な
あなたの作り笑いはとても寂しいから
度々に僕は抱くのです ささやかな憂患を
飴玉を転がし 街を歩いていた
色褪せた エピローグの裏側だ
いつまでも うつろな闃を背負い続けたら
愛想のない言葉だけが響いているかしら
まざまざと 熟れゆく獣の様な日々は
ずっと変わらない証明と信じていたのにな
言えない 言えない 果てだとしても
逃避行もないくらいに生憎の雨だ
ドーリー 見届けておくれ
癒えない 癒えない 傷だとしても
どうしようもないくらいに愛に会いに行くんでしょう
そんなモノローグを許してね
いつの日か あなたの顔を見て話せたら
哀感は雨模様に染まっているかしら
華々と抱えた傷も愛せたのなら
こんな下らない終劇に差し出す花束が
きっと他愛ない憧憬を飾ってくれるだろう
どうか笑わないで僕をその目で見ていてね