終夜
Keina Suda
月明かりに消えそうな瞳を眺めていた
空が鳴く
窓の向こう
季節を運ぶ夕嵐
憂う横顔に何も言えないな
時間は経つ
向かい風が今を攫う
呼ぶ声も掻き消されてしまった
朱い陽が落ちた
この夜は二人だけのものだ
月明かりに消えそうな瞳を眺めていた
朝焼けが胸を締め付ける前に
夜空の最果てまでも届く光でありたい
一等星の輝きは要らないから
傷跡を隠してまで
向かう先は遠いだろう
語るその声がやけに寂しくて
あなたさえ望むのなら
何処へでも行けるだろう
阻むものなんて一つもないさ
今抱く全てが思い出になる頃
その瞳は何を見るだろうか
心なら此処へ置いていくから
花を散らす風の中 あなたは歩いていく
叶うなら霧の掛かった未来で
枯れた声も癒える様な凪ぐ白波でありたい
この夜は二人だけのものだ
月明かりに消えそうな瞳を眺めていた
朝焼けが胸を締め付ける前に
夜空の最果てまでも届く光でありたい
一等星の輝きは要らないから