死にゆく季節のきみへ

Jun Maeda

風に急き立てられ
緑をなす坂道を
転げ落ちるように走った
遠い思い出

知ってるかな? 秘めたこの恋を
知ってるかな? 張り裂けそうなこと

君だけが季節に囚われて
陽だまりのベンチで
今もまたうたた寝してるんだ
ふたりはさよならを
言うため出逢ったんだ
それだけのことなんだ
朝には忘れ
タイを締める

キラキラとした眼に
サラサラの髪揺らした
そこで時間は止まっている
世界は真っ赤に燃えた

知ってるかな? この物語を
知ってるかな? その終わらせ方を

君だけが季節に囚われて
暑さで溶けていく
アイスを今もほおばっているんだ
どうか忘れないで
その瞳の奥に
僕を封じ込めて
雪が舞っても

君だけが季節に囚われて
木枯らしが吹く中
出不精まで 本を読んでいるんだ
隣に潜り込んで
いつまでもぬくぬく
していたいだけだった

君だけが
ずっと君だけだった
君だけが君だった
口が悪いところも全部

君だけが好きだった
君だけが好きでした
君だけが君だから
君だけに
君だけに

サヨナラを言うために
ぼくらは出会ったんだ
朝が来て
タイを締める
ぎゅっと強く

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