Pool
敬之 槇原
プールの監視員が
よそ見をしている
本当の夏はそっちの方に
見えますか
誘う水にだれも
見向きもしない
まるで水着を濡らさないように
してるみたい
準備体操もろくに
しないまま
誰よりも先に飛び込んだ
16の時のガールフレンド
君にもう一度あいたいな
氷イチゴの真っ赤な舌で笑ってた
君にもう一度あいたいな
毎年僕の夏に咲いてたひまわり
指をさしながら
笑った後で
ちゃんと僕に泳ぎ方を
教えてくれた
おもちゃ屋の軒先に
並ぶ花火
小遣いがたりなくて諦めたやつも
今は買えるくらいにはなった
君にもう一度あいたいな
案外違う名字になっていたりして
君にもう一度あいたいな
毎年僕の夏に咲いてたひまわり
「はやくおいでよ」って
笑う声と水音が
あわてて脱いだシャツに
集まったんだ
時間が止まればいいと思った
君にもう一度あいたいな
氷イチゴの真っ赤な舌で笑ってた
君にもう一度あいたいな
毎年僕の夏に咲いてたひまわり