Star Ferry
敬之 槇原
今頃ちょうど君は
あの部屋にもどって
海側の窓を あける頃だろう
夜を渡って行く星を
見逃さないように
部屋の明かりを まだ消したまま
おやすみ 愛しい人よ
願わくば二人の想いが
この舟の航跡よりも
長く続くことを
水夫が縄をといて 敬礼をすれば
今日を思うには短い
舟の旅がはじまる
湿った潮風に 小刻みにはためく
襟元が残り香で
冷やかしながらも
確かめるものがないと
嘆くその日に
思い出せるかと 僕を試す
おやすみ 愛しい人よ
願わくは二人がいつか
この舟の航跡を
一緒に見つめる日を
近づいてくる見慣れた
波止場で待ってる
恋をする前の僕にも
変わらずに手を振ろう
渡した人の想いが 星のように
輝けと名付けられた
舟に思えた夜