亡骸の女
Takarano Arika
どこまでも続く園
繚乱噎せる花の蜜
わたしは蝶と生まれ
余すことなく
甘受する幸福の一瞬が永遠だった
気づけば床に倒れ
白い天井を見てた
溺れてく人のように
手を伸ばして口を開け
この声を失くすだろう
あなたの名前をもう呼べない
幻は鮮らかに
指にいまも触れるのに
聳え建つは楼閣
酔郷巡って回廊
わたしは巫女と生まれ
億の夢を授かり舞う
悦びの戯欷は償いだった
見えない砂が落ちる
崩れるすべての時
埋もれる人のように
諦めて目蓋を閉じ
ああ言葉も葬られ
あなたの名前ももう知らない
幻は跡形もなく瞳には虚ばかり
気づけば床に倒れ
白い天井を見てた
溺れてく人のように
手を伸ばして口を開け
この声を失くすだろう
あなたの名前をもう呼べない
幻を恋いながら
亡骸のまま生きようか
朽ちもせず焼かれもせず
醜くも美しい わたし