哀しみをください
Yumi Matsutoya
さみだれの空を 便箋にして
故なき哀しみ つらつら綴る
いつか あのひとと見た夕焼け
茜い 帯と家々の屋根
明日は晴れそうな薄闇の雨
さみだれの雲は 墨色流し
うち消す想いに 沈んでゆくの
けれど 西の方が朧ろげに
明り 見えていたまぼろしに
希望を持たせて 待たせたのに
あきらめたあのひとよ いちばん好きだった頃が
今もまだ 今もまだ 心しめつけるの
さみだれ乱れて 記憶の奥の
癒せぬ恋しさ つらつら辿る
いつか もう一度会える日を
ずっと 探してる放浪の
お土産ばなしを書き留めるの
あきらめたあのひとよ どこかで変わらずいて
いつまでも いつまでも 哀しみを下さい
あきらめたあのひとよ いちばん好きだった頃が
今もまだ 今もまだ 心しめつけるの